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平成16年04月号 | |
上石隆明 |
雪を告ぐる電光文字を見つめつつぼんやり流るる時はおかえり 背伸びして望遠鏡をのぞきこむ吾子はしっかり位置を確かむ |
水野碧祥 |
憲法はシラー・ゲーテでなけれども<戦争放棄>謳いつつあり <戦争放棄>ポイ捨て去る国会は不法投棄を黙認している 第九条理念普遍と思えども安保闘争いずこにあらむ 去年よりルミネの文字は鮮やかに平和憲法イエローカード 三内に碧空挑むわれのある縄文の世に憲法ありや |
野崎善雄 |
雪雲の暗さははるこの夕べシクラメンの花黝ずみ見ゆ 会堂のオルガンの上のシクラメン・静寂が醸す命の糧の ロウ梅と梅が咲きゐてるこの山も待春の気満ちみつらしも 道端の雪をかぶれる菜畑の花黄色くて春待つ心 桃らしき活花用の枝一ぱい荷車に積む農家の朝の |
安倍三惠 |
埋もれる建物の洞に愛らしい女王様は簿記の御時間 あたしって逢いたくなくて逢いたいと毬つきやめない女と同じ 大切に丁寧に花ちぎり取る後悔しない私のやり方 シンデレラもどきの靴は冷たくて夏まで待てない氷の靴 |
板谷喜和子 |
つつましく厳しかりにしおおははの伝授の黒豆卓にひかれり ベットの上に正座しつつソックスの穴を縢りて母のひと日は 片隅に老いたる母が隠しおく汚物洗いつつ足裏の冷ゆ 在りしなば雪子と名付けし二十歳なる子の歳ばかりを追えばまた雪 |