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平成２０年０２月号
上石隆明	重き指裂けるがごとくかき鳴らすギターに我は同化しており のど仏柔らかき夢包み込め愛おしき子ら声変わりせり 新聞を埋め尽くしたる死のニュース自爆と自殺並列列記 消しゴムを落としたように死を選び魂みんな何処に消えたり 真っ白なセスナが一機飛んでいく時計が止まるグアムの海は オレンジの光が包む丘の上悲哀似合わず海が続けり
山は動く 高橋俊彦	家族みな仏教徒なれ購ひしクリスマス・ケーキ穏やかに食ぶ 女弟子のみが残れり十字架にこの若者の死にたる後を 「山は動く」のくだりの聖書解釈が師と異なりて心昂る 柔らかきセメント材が石となる過程わが頭の老化にし似る ああ古稀のこれが定めか宴会に美味なる物のなべて噛み得ず