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平成25年06月号
上石隆明 コンビニの棚に何も無きことが2年を経てまた甦りくる
パラパラと百円傘を打つ雨に我を呼ぶ声また探したり
大いなる春が去りても地表には2センチ下まで残るセシウム
出会いとは不思議なものなる神主と同じ苗字で地鎮祭をす
病院のエスカレーター止まりたり廊下の闇を吸い込む休日
卯月なる月光強風絡み合う梅の木にしがみつきたるビニール傘が
斉藤芳生
水野洋一
アスクレビオス
高橋俊彦
かの杖をもて我を打て病むわれをアクスレピオス聖なる方よ
ボールをば取つてこいとぞ促され登りし桜に蠢く毛虫
最貧の国にひとつの北朝鮮が核を持つといふ政策あはれ
独り行く命のマーチ一・二・三遂に来ました七十六歩
一生は一度の謂ひぞぞの一度いかに過ぐさむ炎燃やして
原発忌二年目
鴇 悦子
市長選ある春除染声高に言えどあれから二年も経てり
敷地内の汚染土を埋める通知来て狭庭見れども掘る余地のなく
昏睡し郷の野山を巡りしか避難二年目の原発忌来る
風唸る夜の電話に祐禎氏身罷りしこと聞きて声呑む
眼開けず原発忌後に身罷りぬ原発を歌いし祐禎氏
伸び伸びとしないと避難者祐禎氏大熊の町を見てるか魂
中有の身は軽くして祐禎氏郷の大熊俯瞰してるか