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平成27年07月号
上石隆明 白垂木に冷たき雨だれ悲しかり築三百年の屋根は剥かれ
早三月逝きにし君に伝えたき庭に沈丁花咲きにしことを
実感は少なくなりても看板は除染が済みしを示しておりぬ
住ながら実感薄きこの国とネパール似ており暴動は無き
じれったき被災地思いて遠く見る不動明王どっしり座せり
からっぽな母の身体は退院時三十五キロと風纏うごとき
斉藤芳生
水野洋一 怒濤なる波の音にも怯えたる原発稼働友を殺める
雪ふれば思い浮かび来彼の春を「心的外傷」癒える事なく
命ある人集まりぬ命なき瓦礫の中の人を探して
新たなる仕事求める看護師は仮設住宅巡る五月も
鴇 悦子 どうやって死ぬかと友と話す場はフィットネスです汗かきながら
山羊の乳しぼる感触生ぬるく手が覚えてる昔のことを
島離る船室に浮かぶ遠い昔母を泣かせた五色のテープ
日本の技術の良さをテレビでは外国人が言う恥ずかしさ