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平成29年12月号平成30年01号平成30年02月号
上石隆明 歌言葉浮かばざる日の木漏れ日に勢いづくな驕れるなわれ
秋の陽の揺らぎの中の子守歌幼とともに攫われいく
誰もみな擦り傷もちて生きており歪みし時に報われぬまま
瓦斯、水道通っていない展示場生計のエゴにはためく幟
魔の月となりし霜月氷雨降り昨年義父が今年師逝く
軽快なエスプリ短歌残し師は光風のごとくこの世を去りぬ
斉藤芳生 陸封魚大きく跳ねてそののちのみずうみのようにものを言わぬ子
授業後のわが口kまわりかさかさと(あんなに叱ることなかったな)
ハリネズミのような十四のこころかな針たてて秋の階段下る
(お母さん、お母さんそれはちがいます)保護者面談は頷くばかり
不機嫌な自分の顔から眼を逸らす教室の窓を磨く間は
晩秋の大きな虹のねもとにはなにがある 子らの住む街がある
自動ドア開ければざあっと吹き込んでくる落葉、我を呼ぶ子らの声
水野碧祥
鴇 悦子 吾が母は喉を詰まらせ死に際に会えずにおりし悔いの残れり
吾が母は我を二度しか叱らずに寡黙な人でありたり
吾が娘その後男孫と女孫産み車に男孫のナンバーつけし
ようやくに大地震の後の汚染土を運び出す時期が来るらしきなり
夫が男孫おんぶしており霜月に何するでなく詩吟うたいて